"新しいじゃがいも"は「新じゃがいも」なの!?という疑問について

みなさんも、
知っているようでなんとなく使っている言葉ってありませんか?
旬八青果店では、
「新じゃが」って、どういう定義なのだ?
という話が、旬八青果店のデリバーさん間では毎年必ず出ます。
そんな新じゃがについて、
「旬の食材や適切な保存法」を書いている松根に
代表の左今で色々と質問した八百屋談義をまとめてみました。
大分、マニアックな話なので興味のある方のみご覧ください。
まずは、「じゃがいも」全体についてのお話です。
「じゃがいも」といえば、ほんとんどの方々が北海道をイメージするかと思います。
それもそのはずで生産量の約80%は北海道なのです。
ただ、あとの20%はその他の地域で作られています。
そして、全産地が「エイや!」と同じ時期に作るのではなく、
気候風土や技術体系に応じて時期をズラして収穫されています。
じゃがいもの1年を通しての流通は、
メインが先ほどお伝えした北海道産の9月頃に収穫されたものになります。
北海道で8,9月頃から収穫し、貯蔵をしつつ出荷されます。
今は貯蔵技術などが上がり少なくなって来ましたが、
以前は北海道から出荷される貯蔵期間が長くなったものは
市場に行く途中で芽が出てしまったり、
品質がかなり低下してしまっていた様です。
貯蔵が1年も出来るので、貯蔵庫を出た出荷後にそういう事が起きるのは
当然と言えば当然ですよね。
そうすると、「新じゃが」とは、
北海道のじゃがいもが新しくなったものも「新じゃが」なのか?
という疑問がふつふつと湧いてくるのですが、実は違います。
「新じゃが」と呼ばれる物は、まさに今、
この春の時期に出荷出来る様に鹿児島県や長崎県で栽培されて、
早掘り・掘り立てで出荷された物の事を言います。
これは品種名とブランド名が違うようなものだと捉えています。
ただ、実際はなんとなく掘り立てで皮が薄いのは、
全部新じゃがみたいな解釈をされがち、かつ、若干複雑、
なので正しきをなるだけ簡単に伝えるのは悩ましいところです。
さらに詳しい話になると、じゃがいもは大きく分けて年2回作られます。
これを作型といい、春作、秋作と呼びます。
(またこの大きく2つに分けたものもさらに細分化され
長崎県で言うと5つ作型があります・・・!)
春じゃが、秋じゃが、と、もしかしたら聞かれた事があるかもしれませんが、
一般的には、
冬に植え付けて春から初夏にかけて収穫する春じゃが、
夏に植え付けて秋の終わりから年末に収穫・出荷される秋じゃががあります。
この秋じゃがを夏でなく秋の終わりのなるべく遅い時期に植え付けて
年明けに以降に収穫出来る様にしたもの(秋作抑制栽培)を
「新じゃが」と呼ぶ
のが正しいと解釈しています。
大分マニアックですね。笑
この栽培が出来るのが冬に近付いてても霜が降りにくい、
鹿児島県や長崎県だったのですね。
年が明けて早く出せると高値で取引してもらえるのなるべく早く!
と出荷している様で、
今は品種や栽培技術の向上で年明けすぐに出荷されたりもしてます。
じゃがいもは、年初から年末までで考えると、
新じゃが→
3〜6月頃収穫の春じゃが→
8月から北海道の夏作じゃが(これがよく年、場合によっては通年)→
北海道と被りつつ11、12月に収穫される秋じゃが
みたいなリレーになります。
ちなみに秋じゃがは夏の暑さとの戦いだったり、
育てられる品種が限られてしまうので出回る量としては少なめです。
なので、価格も安いじゃがいものイメージとは違って相対的に高くなるのですね。
新じゃがは、じゃがいもの1年間の中の産地リレーの
一番最初に収穫される子達のことなのです。
マニアックな記事にお付き合い頂きありがとうございました。
八百屋の談義でした。